あらすじ

 

春。それは出会いの季節。

そして――

 

「好きなの。つきあって」

 

あの、約束の季節。

 

「私、ずっとここで待ってるから」

 

五年前の少女の、微笑んだ顔を、交えた小指を、誓った声音を、胸に抱き、

 

「返事は、その時に聞かせて?」

 

冬召定善(ふゆよびさだよし)は故郷へ舞い戻る。

 

果たされる約束。

再会した友人達。

彼は、この楽しく幸せな日々が続くと、信じて疑わない。

 

そして町に起こる猟奇殺人。通り魔的『食人鬼』。

日常は変質する。それでもそこに追い縋る。

 

愛しい恋人。変人で隣人の幼馴染。徘徊する狂気。

その渦中で彼は何を見るのか。