チュートリアルでコミュニケーション「Near The Sun」制作記#17

2025 年 7 月 20 日 | カテゴリー: Near The Sun, 製作について

15期のドッグウッドと申します。

今回はチュートリアルの作成法について話します。

チュートリアルはめちゃくちゃ大事です。
どれだけ頑張って作ったゲームでも、ルールがわからなければ遊んでもらえはしません。
ただ、「人にルールを学習させる」ということで、作るのはとても難しいです。工数もかかります。それでいてプレイヤーが「いいチュートリアルだ、最高!楽しい!」となることは余りないのが辛いところです。

そんなチュートリアルを作成しながら以下のことを考えました。
1.置いてあるだけの文字は読まない。アニメーションさせろ
2.アニメーションしただけの文字は読まない。操作が必要な「壁」を作れ
3.わかりにくいルールは何回でも提示しろ
4.重要なチュートリアルは画面を止めろ
5.操作方法は常に提示しろ
6.文章は短く
です。もうここで記事が終わってもいいのですが……それだと短すぎるのでそれぞれ少しずつ補足します。


1.置いてあるだけの文字は読まない。アニメーションさせろ

「Near The Sun」では文字をステージ上に配置してチュートリアルにしています。
初めてイベント出展したときは驚きました。半分くらいの人が文字を読まずに先に進むか、読んでも理解せずに先に進みます。
これはお客さんが悪いのではないです。チュートリアルの役割はコミュニケーションであり、どういう原因であれそれを果たせなかったのはチュートリアル側に落ち度があります。まあどこまで対応するかは別の話ですが……。

「でかい文字」は別に人の気を引きません。なぜならその下を通るステージの方が重要で、目が行くからです。
では目を行かせるにはどうしたらよいか。
人は動くものを目で追います。そのため、大きさを変えてアニメーションさせるのが一つの手段です。あとは点滅させるのも効果があると思います

横に伸びる

2.アニメーションしただけの文字は読まない。操作が必要な「壁」を作れ
1で文字をアニメーションさせましたが、まだ足りません。プレイヤーは文字を(そもそも読まないか)読んだ気になって先に進みます。そのため、幾度かその操作を実際に行わせて覚えさせるのが重要です。
上の例では左右移動、ジャンプだけでは超えられない壁を用意しています。
ただ、「○○でゲームオーバー」は実際に体験させるのが難しいですよね……。ここの解決策は僕自身見つけられていません。

3.わかりにくいルールは何回でも提示しろ
座学、実践ときたら次はそう、反復です。ある程度時間がたってからもう一度チュートリアルを提示しましょう。

4.重要なチュートリアルは画面を止めろ
しかし、「アイテムの取得」などはゲームシステムの都合上一度しか提示できない、次に提示されるのはもっと後の方になってしまう、という操作もありますよね。その時は奥義、「画面を止めて文字を読み、特定のボタンを押さないと再開できない」です。これをやると(理解させるかはともかく)プレイヤーは確実に文字を読みます。
ゲームのテンポ?知ったことではありません。ルールの理解の方が何百倍も大事です。
むしろ、止めすぎると学習されて読み飛ばされる方を恐れたほうがいいです。その意味で「ここぞ」という時に使うのが良いのではないでしょうか。

5.操作方法は常に提示しろ
一度途中までやって積んでいたゲームを再開したら操作方法がわからない、という経験はありませんか?私たちが作っているゲームも当然そうなる可能性があります。インタラクションの方法は常に表示しておきましょう。
本筋からは逸れますが、再開時にできれば「ここまでのあらすじ」みたいな機能を入れたいですよね……。しかし工数が……。

6.文章は短く
多少正確性が落ちても直感的に理解できるチュートリアルの方が格上です。
チュートリアルは「仕様を伝える場」ではありません。
具体例をお見せしましょう。

「空中ダッシュ中は敵の視界の中でエネルギーを消費しない」

「空中ダッシュ中は無敵」

下の方がいいですよね。実際は空中ダッシュでトゲに突っ込むと死んだりしますが……それでも上の「理解できない文字列」よりはだいぶマシです。
短く仕様を完璧に伝えられるならそれに越したことはないんですけどね。


いろいろ書いてきましたがまあ、結局は工数との戦いでもあります。
逆に言えばどれだけ適当に作られていても伝わりさえすればなんでもいいわけですし。
チュートリアルアニメーションの細かい動きにこだわるくらいなら、ボスの動きをゴージャスにした方がいいですね。
なんにせよ人とのコミュニケーションは難しいということで……。

最後に、SANABIのチュートリアルの見せ方はとても参考になります。
アニメーションする看板、半透明なプレイヤーのアニメーション、足を止めさせてのチュートリアル、というかチュートリアル用のステージがきちんと複数用意されていてすごすぎ……。一度プレイしてみてください。

次回はInideGamesContest2024への申し込みとその結果について話します。

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