マップマップマップ……「Near The Sun」制作期#20

2025 年 8 月 10 日 | カテゴリー: Near The Sun, 製作について

15期のドッグウッドと申します。

今回はメトロイドヴァニアのマップ機能についてです。

メトロイドヴァニア。ボスを倒す、宝箱を開ける、購入するなどの手段で移動能力を増やすことで、探索可能な場所を増やして進んでいく2Dアクションです。

世の中のメトロイドヴァニアには多様なマップ機能があります。アイテムの位置が表示されていたりいなかったり、一部屋が単なる四角だったり地形に合わせた形だったり……。詳細に書かれていればいるほどいい、というわけではないのが難しい所です。

メトロイドヴァニアにおけるマップの機能は単なる「迷わないようにするための道具」ではありません。それなら最初から完全に埋まったマップを用意すればいいだけの話ですからね。
僕は現実の地図とは大きく違って2つの役割があると思います。

1.探索のモチベーションを向上させる。
メトロイドヴァニアといえば「探索」の楽しさがゲームの根幹の楽しさの内の一つになっています。
では、「探索の楽しさ」とは何か。
それは、未知を既知に変えるプロセスそのものでしょう。
「未知」の魅力を増すために、レベルデザインをする人は「宝箱」「変な地形」「倒すのが難しい敵」「頭を使わないと先へ進めないギミック」を用意します。ずっと同じ平坦な道では、「未知」の先の予想がついて退屈になってしまいます。
マップはその「未知」を示す機能だと思います。
マップがなければ、一度通った道を忘れてもう一度通り、「なんだまたここか」となってしまいますね。また、アイテムを探すのにもある程度の位置がわかっていないと探す行為が苦痛になってしまいます。
この辺りはEnderLiliesが上手いですね。
「未探索な場所」のエリアの色が変わる仕様になってはいますが、エリアのどこにあるのか、何があるのかは表示されません。
エリアを限定して「未知」の存在を示しながらも「何があるか」は示さない、見事な塩梅です。
「このエリアの中のこの場所に食料素材のじゃがいもが7個ある」なんて詳細にマップを示したら、ただのおつかいになってしまいますね。

2.探索の集積としてのトロフィー
厳密には1に含まれますが、1は未来向きの役割、2は過去向きの役割ということで分けてあります。
自分はこんなに広い地形を全て踏破してきたんだぞ!という実績の表示としてのマップです。メトロイドヴァニアのマップならマップの拡大/縮小機能は(個人的には)絶対に欲しい所です。
ここを意識しているゲームは割と少ない気がするのですが……どうでしょうか。探索率100%のエリアができたら虹色に光るくらいやっていい気がします。
単に実績が解除されるだけというのが多いイメージですね。

これらのマップの役割を前提として、マップの仕様でよくぶち当たる問題をいくつか論じてみましょうか。収集要素の多寡など、規模によって結論は異なることがあります、ご了承ください。

・マップを手に入れるタイミングについて
マップ自体を最初に保持しておらず、各エリア内で購入することで初めてそのエリアのマップを見ることができる作品があります。
これは非常に合理的な仕様だと思います。
最初は事由に探索をさせ、だんだんマップが覚えきれなくなってきたところでマップを得る……そして、「あそこに行けるのか」などの驚きを得る。
これは「マップが欲しいから探索をする」のようにモチベーションになる上に、実装の工数も少なくて済む工夫だと思います。(「Near The Sun」ではテンポが落ちるため入れていませんが……)
しかし、マップをもらえる場所を見逃すと大きなストレスになり、一つのエリアから次のエリアへ移動する時に「マップを覚える」負荷をかけることになります。
マップをもらえる場所をわかりやすくすること、ボスなどで一つのエリアから次のエリアの区切りをわかりやすくした上で何らかの探索のモチベーションを用意すること、そしてマップを手に入れたとき、すでに通ったことがある場所はもう一度通って埋める必要がないようにすることは気を付けたいですね。

・探索中に死んだとき、マップの埋まり具合も巻き戻るべきか?
これは巻き戻るべきではないと思います。
死ぬたびに地形が変わるなどの要素があれば話は別ですが……。
この仕様が入っているゲームはデスルーラ対策で、チェックポイントの価値をあげたいのかなと思うのですが、ストレスの方が大きいでしょう。
既知を忘れたことによる未知はたいして価値のある未知ではありません。

ということで、マップについて書いてきました。
マップは実装が大変で、地形を変えるとマップも変えないといけないので工数も大きく増えますが、ゲームをプレイしてくれる人の遊びやすさを向上させる意味でも入れたい機能ですね。

次は「Near The Sun」のステージ装飾について話します。

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