パースガン無視ヤバ装飾「Near The Sun」制作記#21

2025 年 8 月 17 日 | カテゴリー: Near The Sun, 製作について

15期のドッグウッドです。

今回は2D横スクロールゲームの装飾について話します。

横スクロールゲームのグラフィックってかなり特徴的ですよね。
一枚絵と違って視点が動きますし、3Dゲームと違って視点によって物体の見え方が変わったりしません。
それにそもそも、地形をスライスして真横から見た絵を描くわけですが……地面のスライスってなんだよ!骨組みでも書けばいいのか!?

よって、「視点」を抽象化して画面に落とし込む必要があるわけですね。
普段僕が2Dグラフィックを作るうえで考えていることを書こうと思います。

基本的に6枚のレイヤーを考えます。
1.超前景レイヤー
2.前景レイヤー
3.地形レイヤー
(プレイヤーのレイヤー)
4.建築物レイヤー
5.遠景レイヤー
6.超遠景レイヤー
です。

1.超前景レイヤー
想定カメラのすぐ目の前にあるオブジェクトで、基本的にぼかしを入れます。画面の半分くらいを覆うこともしばしば。他のレイヤーよりもスクロールするスピードが速いです。たいてい真っ黒で、込み入った洞窟などを表すときに使われるイメージが強いです。プレイの邪魔になることが多いので、これを入れるときは敵やギミックがない所にしましょう。「Near The Sun」では使い方を迷っています。

2.前景レイヤー
スクロールスピードは地形レイヤーと同じで、プレイヤーと地形より手前にあるオブジェクトです。紐や鎖、布、ツタなどがあると簡単に情報量が上がります。

3.地形レイヤー
プレイヤーが接する地形です。このレイヤーだけは重要な個所と重要でない箇所が決まっています。地面と空間の境界線が一番重要で、地面の中はたいして重要ではありません。情報量を増やすために地面の中を描き込むと、画面のいらないところに目が行ってしまいます。地面の中は単純なパターンか暗闇がいいと思います。また、地面と空間の境界はなるべく明度の高い色を使いましょう。どれだけ綺麗なグラフィックでも、境界がわかりづらければゲームプレイに影響が出てしまいます。
そして、地形レイヤーと建築物レイヤーの間に薄い透明色を置きましょう。この透明色が建築物レイヤーを淡くさせ、境界をはっきりさせます。

4.建築物レイヤー
画面の情報量を上げる建築物を置くレイヤーです。描き込みどころ……ではありますが、背景なのでインタラクトできるオブジェクト以上に目立つことがないようにしましょう。あまりに目立ちすぎていたらTintColorをいじって色を淡くさせたり、乗算のオブジェクトを上に置いて詳細をつぶしたりというのも手です。
揺れる草や鎖など、ギミックではないがインタラクトできるものを置いておくとプレイヤーを飽きさせずに済みます。また、アニメーションをしてると画面がにぎやかになっていいですね。
建築物を真横から描くと薄っぺらく見えるし、斜めから描くとパースの問題があるし……という問題についてです。基本的にはパースは気にしなくていいと思います。そこまで違和感は出ません。また、真横から描くときは色による遠近感を意識しましょう。反復によって遠近感を出すことができます。厳密に描かなくても 、ゲームをプレイしている人には思っているより違和感なく伝わるものです。フィーリングが大事!

5.遠景レイヤー
建築物レイヤーの後ろ側にある景色のレイヤーです。カメラの位置を参照してスクロールさせると立体感が出ます。「Near The Sun」では#20で話した洞窟ブラシを用いて作った画像をスクロールさせています。情報量は増やしつつ、基本的には模様の延長線上なので目が向くほどのものでもない、といういい塩梅を作れたと思っています。何枚か重ねて間にエアブラシで作ったテクスチャを加算で入れることで距離感を演出しています。

6.超遠景レイヤー
視点移動が無視できるほどと奥にある景色のレイヤーです。つまり画面に一枚絵を張って表します。「Near The Sun」は洞窟の中なのでそんな遠景が見えるか……?という疑問が出て扱いづらいです。淡くすると遠景感が出ます。

ということで、2D横視点グラフィックの基本レイヤー構成について話しました。これについて書かれた本は少ないので、なるべく多くのゲームをプレイして分析したいですね。2Dでしかできない演出もまだまだあると思いますし……。

では、次回はボス戦について話そうと思います。

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