あらすじのようなことを書いているので一応※ネタバレ注意※
どうもこんばんは。唐突ですが実は私には妹がいます。今は離れて暮らしていますがたまにほぼ毎日電話をします。本日話を伺ったところ、高校のお昼のミュージックタイムにネイティブフェイスが流れたそう…。何をやっているのだ北海道●葉高校(私の母校でもあります)。 しかし何というか「学校でこんなオタオタしい事してやったぜ!」→「ちょwおまw自重ww」見たいな流れはあまり好きではありません。単に迷惑or内輪ネタということではなく、俺はこんなこと知ってるぜやってるぜヒャッハーって感じが厨二病らしくて痛々しいのでしょうか? こんなサークルで活動しているのでやっぱりただの同属嫌悪なようなきもしてきました。
さてそんな流れもあってかなくてか、本の紹介をします。 『青年のための読書クラブ』桜庭一樹さんです。小説ですよ、短編小説集。題名に騙されてはいけません。最近では漫画化もしているようです。 ざっとあらすじも書きます。一片のネタバレもやだぜという方はこの先閲覧注意です。まぁ話したところでwikipedia程度ですが…。
>舞台はカトリック系名門女子校
女子校! いいですね女子校! わがサークル員でも大好物な人が多いようです。
>学園の正史からは削除された珍事件や変わった出来事を、「読書クラブ」によって受け継がれ書かれてきた「秘密のクラブ誌」という体裁で描かれている。
なんという正しい意味での黒歴史! このうえボク少女まで頻繁に登場するのだから、もう厨二方向での期待は高まるばかりです。2006年度センター試験現代文の小説のようです。
ただここまで煽っておいてなんですが注目したいのはそんなポイントではありません。今回話題にするのは前5話中のうち『奇妙な旅人』についてです。 この話での舞台設定をもう少し具体的に羅列すると、「1989年、バブル景気&ベビーブームでの生徒増、バブルによる扇子の娘達の台頭」となり、話はこの扇子の娘達(=バブルによる成金の娘でジュリ扇持ち)が生徒会をのっとろうとしてさてどうなる、というものです。このように書いたら「生徒会=守旧派=いいひとたち」「扇子の娘達=和を乱すもの=わるいひとたち」のように見えるでしょう。しかしそうは描かれていません。ミラーボールを持ち込んでダンス始めたり礼拝の禁止を求めたりする傍若無人な扇子の娘達は、今のままではいけないという高校生特有の葛藤(=煩悩)が時代を背景にして加速される様を示しています。擬似身分制社会は終わった、年功序列による不当な圧力もなくなった、ではこの高校は変わるのか否かという問いかけです。現在から見れば擬似身分制社会も年功序列も続いているのですが当時は本当に新しかったのでしょう。 対する生徒会はひたすら真逆に過去の(悪弊ともいえる)思想と方法であり続けます。指名制生徒会交代を続けたいし、権力を濫用して相手を追い詰めようとする。しかしそれも安定のためのよい方法であると、善であるといえるとこの話では主張しています。変革するかしないかの転換期のなかで読書クラブは中立であり、どちらにも肩入れせずまた邪険にせずという立ち位置を取ります。 幕切れはあっけないくカタルシスもないですが少女達の思想と行動と揺れ動く心の描写はじつに面白いです。 毛色は違いますがオンラインコミックの『堀さんと宮村くん』も似たようなことを考えていると思います、人間そう割り切れるものばかりじゃないよと。
善悪はっきりした話もいいけれど、たまにはもやっとした心残りしかない話を読んでみるのもいいと思います。それではまたの機会に。もうこんな長文を書くことはないでしょう。