emとstrong

2009 年 5 月 11 日 | カテゴリー: 中の人の戯言

新入生もそろって、新しい企画いっぱい夢いっぱいのノンリニアですが、僕も新しい企画に参加中です。「永遠のSOの下に」では微力ながら絵で参加していましたが、次は大きく変わってプログラマとしての参加です。楽しみ楽しみ。

そこで今日はプログラマっぽいことを書こう、と思いましたが、ノンリニアでは今まで技術的にはウェブくらいでしか参加してなかったので、今日はウェブの小話を書きます。サークル内でHTML/CSS講座なるものもやったし。資料まとめて上げるの遅れててすみません。

 

というわけでタイトルにもあるように em と strong の話。

HTML を知っている人ならわかると思いますが、em と strong とはもちろん強調タグのことです。emphasis(強調) と strong emphasis(強い強調) という風に説明されますが、もうこの時点で em の存在意義が危ういと誰もが思うわけです。

実際には em はイタリック体、strong はボールド体というルールがあって(HTML4.01仕様にまで「大抵そのように実装される」というようなことが書かれている)、それまで使われていた物理タグ<i>と<b>の代替のようになっています。これも物理タグから脱却してHTMLを文章構造を書くことに限定させよう、という意図に少し反している気もしますが、この仕様にまで書かれている「em はイタリック、strong はボールド」には理由があると思われます。

 

<ここからの話は、まあウェブ上を探せばいろんなところに似たようなことが書かれていると思いますが、この話を知って調べたのは割と前なので、特によさげなページは忘れちゃいました。まあ、参考文献みたいなのはググれボーイズあんどガールズ、でいいよね>

 

まず注意しなければならないのは、この手の技術は基本的に英語圏(あるいは少し広く見て欧米)の文化をベースとして作られているということです。HTML というのは文書・文章構造を表す手段なので、どの言語で考えているのかというのは本来非常に大事なことのはずですが、なんだか無視されがちな気がします。

では英語(あるいは欧米の言語)でイタリックとボールドにどんな違いがあるのか。実は(というほどのことじゃないけど)この2つの字体では強調の仕方が違うのです。

まずイタリック体は、文脈に依存した強調を表すのに用いることが多いです。例えばある言葉を本来とは別の意味で使ったとき(比喩その他)とか、普通の単語だけど特にそのニュアンスを強調したいときとか。local emphasis あるいは contexual emphasis という感じ。

実際、イタリック体は目立ちません。文章をよく読まないと、そこに強調があったことにすら気付きません。しかし読んでれば必ず意識します。

一方のボールド体は、文脈に寄らずにその単語・文を強調したいときに使います。例えば専門用語の定義とか、重要な事実を書くときとか、文章のまとめとか。他の部分を読まなくても意味のある強調、ということです。global emphasis または context-free emphasis というような感じで。

確かにボールド体はイタリック体と違って、パッと見て目立ちます。まあだからこそ日本語ユーザーはこっちしか使いたがらないのですが。

 

そういうわけで、em と strong にはちゃんとした使い分けがあるのです。ですが日本人にはわかりづらいです。欧米圏の言語のイタリックに対しては、日本語では傍点が何となく近い感じと思われるので、em タグで傍点、となれば使う人が出てくるかも知れないなあと思いますが、今の CSS では傍点は打てないので、まだしばらくは日本語では em タグを使うことにはならないだろうなあ。かくいう僕も上のようなことを言っておきながら、自分のサイトでは em の方が打ちやすいからというだけの理由で em を太字にしちゃってるし (strong は太字+フォント大にしてる)。

それにこの使い分けを正確に実施したところで、検索エンジンなどのプログラムがこの点を正しく把握してくれるとは思えないし。なのでこの話は (少なくとも今は) 小ネタにしかならないのですが……!

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